DHCPとDNSの違いとは?それぞれの役割と仕組みを解説
デバイスがインターネットに接続する際には、常に2つの重要なバックグラウンドサービスが動作しています。1つはネットワークに参加するための設定を自動的に割り当て、もう1つは「example.com」のようなドメイン名を通信に必要なIPアドレスへ変換します。これらを担うのが、Dynamic Host Configuration Protocol(DHCP)とDomain Name System(DNS)です。
「DHCPとDNSの違い」で検索されることが多いのは、どちらもネットワーク設定に登場するためです。しかし、それぞれの役割はまったく異なります。DHCPはIPアドレスの自動設定を担い、DNSはドメイン名をIPアドレスに変換します。両者を混同すると、トラブルシューティングで無駄な時間を費やす原因になります。
本ガイドでは、DHCPとDNSの仕組みや連携ポイントに加え、家庭用ネットワークから企業、クラウド、さらにはIoT環境に至るまで、注意すべきリスクについても分かりやすく解説します。
DHCPとは?
DHCP は、デバイスにIPアドレスやネットワーク設定を自動で割り当てるためのネットワークプロトコルです。DHCPがなければ、ノートPCやスマートフォン、サーバーごとに手動設定が必要になり、大規模な環境では現実的に管理できません。
この設定を自動化することで、デバイスはスムーズかつ安定してネットワークに接続できます。また、複数の端末に同じIPアドレスが割り当てられる「アドレス競合」を防ぎ、通信トラブルの回避にもつながります。
※ DHCPはもともとIPv4向けに設計された仕組みです。より新しいアドレス方式である IPv6 では、IPアドレスの割り当てや追加設定のために、DHCPv6(または他の自動設定方式)が使用されます。
DHCPの仕組み
デバイスがネットワークに接続する際、最初は有効なIPアドレスを持っていません。DHCPは、デバイスとサーバー間で行われる一連の通信によってIPアドレスを割り当てます。このプロセスは「DORA」と呼ばれます。

- Discover: クライアントがDHCPサーバーを探すためのリクエストをネットワーク上に送信
- Offer: サーバーが利用可能なIPアドレスと設定情報を提示
- Request: クライアントがそのアドレスの使用を要求
- Acknowledgment: サーバーが承認し、一定期間そのアドレスを割り当て
各IPアドレスには利用期間(リース期間)が設定されています。期限までに更新されない場合、そのアドレスはDHCPサーバーによって回収され、再び利用可能なアドレスとしてプールに戻されます。
管理者は、DHCPの動作を以下のように柔軟に設定できます:
- MACアドレス(ネットワークインターフェースに固有の識別子)に紐づけてIP アドレスを予約する ことで、サーバーやプリンターなどの機器に常に同じIPアドレスを割り当てることができます。
- スコープ(割り当て可能なIPアドレス範囲)を設定する ことで、サブネットやVLAN(仮想LAN)ごとに配布範囲を管理できます。これにより、ネットワーク内の異なる領域を適切に分離できます。
- オプション設定を追加する ことで、デフォルトゲートウェイやDNSサーバーの情報、さらには電話やプリンターなどの機器向けの設定情報といった追加パラメータも配布できます。
ネットワークにおけるDHCPの重要性
DHCPは、大規模なネットワーク運用と安定性の確保に不可欠です。IPアドレスやネットワーク設定を自動的に割り当てることで、家庭、企業、クラウド環境を問わず、デバイスは手動設定なしでスムーズに接続できます。個別設定を行うことなく、数千台規模のデバイスに同一の設定を一括適用できる点も大きな利点です。さらに、集中管理によりアドレス競合を防ぎ、常に正しい設定で通信を開始できます。
DHCPは管理者に優れた可視性も提供します。アドレス範囲や予約、各種オプションを一元管理することで、どのデバイスがどのIPアドレスをいつ使用していたかを把握できます。これにより、トラブル対応や監査、セキュリティチェックを効率的に行えます。
DNSとは?
DNS は、ドメイン名をIPアドレスへ変換する分散型の名前解決システムです。ドメイン名とは、「example.com」のようにブラウザに入力する文字列のアドレスで、インターネット上の特定のサイトやサービスを識別します。
インターネットに接続するすべてのデバイスはIPアドレスを使って通信しますが、数値のアドレスを直接扱うのは現実的ではありません。桁数が長く覚えにくいうえ、数百万規模のサイトやサービスを管理するには不向きです。
DNSは、入力されたドメイン名をもとに対応するIPアドレスを検索し、デバイスが接続できるようにします。ユーザーが目にするのはドメイン名だけで、その裏側でDNSが毎回IPアドレスへの変換処理を担っています。
DNSの仕組み
ドメイン名が入力されると、それに対応するIPアドレスを特定する必要があります。この情報は1か所に集約されているわけではなく、正しいレコードにたどり着くまでに複数のステップを経て検索が行われます。

- ローカルキャッシュ: まずデバイス自身のキャッシュを確認します。これは最近のDNS問い合わせ結果を一時的に保存する領域で、有効な情報が残っていればすぐに再利用され、処理はそこで完了します。
- 再帰リゾルバー: ローカルキャッシュに該当情報がない場合、問い合わせは再帰リゾルバーへ送られます。これはISPやパブリックDNS、VPNプロバイダーなどが提供するDNSサーバーで、ここから先の検索処理を代行します。
- ルートサーバー: リゾルバーに情報がない場合、ルートサーバーへ問い合わせが行われます。ルートサーバー自体はドメイン情報を持ちませんが、適切なトップレベルドメイン(TLD)サーバーへと誘導します。
- TLDサーバー: TLDサーバーは、.comや.org、.ukなどのドメインをまとめて管理しています。ここで、対象ドメインの情報を保持する権威DNSサーバーの場所が示されます。
- 権威DNSサーバー: 実際のDNSレコードが保存されているサーバーです。リゾルバーに対して、必要な情報を直接返します。主なレコード例は以下の通りです:
- Aレコード: ドメイン名をIPv4アドレスに変換
- AAAAレコード: ドメイン名をIPv6アドレスに変換
- Mail Exchange(MX)レコード: メール配送先のサーバーを指定
- 応答とキャッシュ: 権威DNSサーバーから情報を取得すると、リゾルバーはその結果をクライアントに返し、同時にキャッシュへ保存します。各レコードにはTTL(有効期限)が設定されており、その期間内は再検索なしで利用できます。
インターネットにおけるDNSの役割
インターネット上の多くの通信は、どこかの段階でDNSに依存しています。ドメイン名をIPアドレスに変換する必要がある場面ではDNSは必ず関与するため、Webサイトだけでなく、さまざまなサービスにとって不可欠な存在です。DNSの主な役割は以下の通りです:
- メール配信: DNSはMXレコードを通じて、メールの送信先サーバーを特定します。DNSがなければ、メールをどこに届けるべきか判断できません。
- コンテンツ配信ネットワーク(CDN): CDNsはDNSを活用し、ユーザーを最適なサーバーへ自動的に振り分けます。アクセス時には、位置情報やサーバー負荷、ネットワーク状況をもとに最適な接続先が選ばれ、表示速度の向上や負荷分散を実現します。
- 負荷分散: 同一ドメインに複数のIPアドレスを割り当てることで、アクセスを分散させます。これにより過負荷を防ぎ、サービスの安定稼働を維持できます。
- サービスディスカバリ: Voice over Internet Protocol(VoIP)やメッセージングアプリなどは、DNSを使って適切なサーバーを自動的に特定します。
- 信頼性の確保: Domain Name System Security Extensions(DNSSEC)などにより、DNSレコードにデジタル署名が付与されます。これにより、応答が正規のサーバーから送られたものであり、途中で改ざんされていないことを確認できます。
DNSはこれらすべての機能の基盤となっているため、不具合が発生すると影響は広範囲に及びます。キャッシュの破損や不正な応答により、誤ったサーバーへ誘導されたり、メールが届かなくなったり、サービス全体が利用できなくなる可能性もあります。
DNSとDHCPの比較
DHCPサーバーとDNSサーバーの役割
これら2つのプロトコルは、異なるタイミングでネットワークに関与します。DHCPサーバーはデバイス接続時に動作し、IPアドレスや各種設定を割り当てて通信を開始できる状態にします。
一方、DNSサーバーはその後の通信で使用され、ホスト名を対応するIPアドレスに変換する際に呼び出されます。DHCPが初期設定を担い、DNSが継続的な通信を支える役割を持っています。
DHCPによるIPアドレス管理
DHCPサーバーは、どのIPアドレスが使用中でどれが未使用かを管理しています。これにより、複数の端末に同じIPが割り当てられる競合を防げます。大規模なネットワークでは、用途ごとにアドレス範囲を分けることも可能です。例えば、ゲスト用Wi-Fiと社内端末で異なる範囲を割り当てることで、ネットワークの整理と衝突防止を実現できます。
DNSによる名前解決
DNSサーバーはドメイン名をIPアドレスへ変換します。「example.com」といったリクエストに対し、キャッシュから応答するか、必要に応じて他のサーバーへ問い合わせを行い、正しい情報を取得します。この仕組みにより、ユーザーは複雑な数値ではなく、覚えやすい名前でサービスを利用できます。これがなければ、メールや動画配信なども正しく接続できません。
DHCPとDNSの技術的な違い
- ポート: ポートとは、どのサービスが通信を処理するかを識別する番号です。DHCPはUser Datagram Protocol(UDP)ポート67(サーバー)と68(クライアント)を使用し、DNSはポート53を利用します。DNSはUDPとTransmission Control Protocol(TCP)の両方に対応しており、これらの仕様は標準化されているため、各システムは適切な宛先へリクエストを送信できます。
- サーバー構成: DHCPは集中管理型で、通常は1台または少数のサーバーがIPアドレスの割り当てを管理します。一方、DNSは分散型で、世界中のサーバーに情報が分散され、それぞれが一部の名前空間を担当しています。
- 機能: DHCPはIPアドレスの一時的な割り当てに加え、ゲートウェイや時刻サーバーなどの設定情報も提供します。DNSはドメイン名をIPアドレスに変換するほか、メールのルーティングやサービスの自動検出も担います。
DHCPとDNSがネットワークに与える影響
DHCPとDNSは、設定ミスやトラブル発生時に、それぞれ異なる形でネットワークへ影響を与えます。
- DHCP: 大規模なWi-Fi環境では、リース管理の非効率が深刻な問題を招くことがあります。大学のネットワーク調査 では、ピーク時に約25%のIPアドレスが無駄になり、多くの端末が実際には使用していない状態でアドレスを保持していたことが確認されました。その結果、アドレス不足が発生し、プールの再設定や拡張が行われるまで利用者が接続できなくなる事態に至りました。スコープやリース期間を適切に調整することで、安定性と可用性は改善されます。
- DNS: 障害は必ずしも完全な停止として現れるとは限らず、誤ったルーティングや速度低下として現れるケースも多くあります。2025年7月 には設定ミスによりCloudflareの1.1.1.1リゾルバーが世界的に停止し、復旧するまでドメイン解決ができない状況が発生しました。
DHCPとDNSの比較表
以下の表では、DHCPとDNSの主な違いをまとめています。
| DHCP | DNS | |
| 主な役割 | IPアドレスとネットワーク設定を割り当てる | ホスト名をIPアドレスに変換する |
| 使用されるタイミング | デバイスの接続時および更新時 | ドメイン名をIPアドレスへ変換する必要があるとき |
| 使用ポート | UDP 67(サーバー)、UDP 68(クライアント) | TCP/UDP 53 |
| システム構成 | 集中管理型:1台または少数のサーバーでアドレスを管理 | 分散型:多数のサーバーでレコードを分散管理 |
| 主な機能 | IPアドレスのリース、ゲートウェイ、サブネット、DNSリゾルバー情報の提供 | 名前解決、逆引き検索、メールルーティング、サービスディスカバリ |
| 一般的な出力 | IPアドレスと各種設定情報 | 指定されたドメイン名に対応するIPアドレス |
DHCPとDNSはどのように連携するのか
多くのネットワークでは、DHCPとDNSを連携させることで、デバイスがIPアドレスのリースを受け取ると同時に、そのホスト名とIPアドレスがDNSへ自動登録される仕組みを採用しています。これにより、システム間で情報の整合性を保ちやすくなり、管理者はログの追跡やデバイスの特定、名前とアドレスの対応関係の維持を効率的に行えます。
以下では、DHCPとDNSの主な連携パターンに加え、統合によるメリット、注意点、リスクについて解説します。
DHCPとDNSの連携
DHCPとDNSを密に連携させることで、管理者は一貫した情報管理を実現できます。例えば、ノートPCがIPアドレスを取得すると、サーバーはホスト名とIPアドレスを対応付けるフォワードレコードと、逆引き用のリバースレコードを自動的に作成・更新します。リース期限が切れたり、端末がネットワークから離脱した場合には、これらのレコードも自動的に整理されます。
この仕組みは、ゲストWi-Fiやテスト環境、IoTネットワークのように端末の接続・切断が頻繁に発生する環境で特に効果を発揮します。主なメリットは以下の通りです:
- 証明書・サービス検証: レガシーなメールサーバーや社内システムなどでは、接続前にホスト名とIPアドレスの一致を確認する場合があります。DNS情報を常に最新に保つことで、こうした検証を確実に通過し、接続トラブルの防止につながります。
- 運用負荷の軽減: DNSレコードが自動更新されるため、手動での編集作業が不要になります。これにより古い情報の残存を防ぎ、全体の正確性も向上します。
Dynamic DNS(DDNS)とは
Dynamic DNS(DDNS)は、IPアドレスの変更に応じてDNSレコードを自動更新する仕組みです。主な利用ケースは以下の2つです:
- 内部ネットワークでの自動化: 企業ネットワークでは、DHCPがIPアドレスの割り当てや更新を行う際に、DNSレコードも自動的に更新するよう設定できます。例えば、ノートPCに新しいIPが割り当てられると、その情報がDNSにも反映され、他のシステムから名前で参照できる状態が維持されます。この機能はMicrosoftのWindows Serverなどに標準搭載されており、Linux環境のオープンソースDHCPでも利用可能です。
- 外部アクセスの維持: 家庭や中小企業では、パブリックIPアドレスが定期的に変わるケースがあります。DDNSを利用すれば、常に最新のIPアドレスに紐づく固定ホスト名を使用できるため、リモートデスクトップや監視カメラ、個人サイトなどへ継続してアクセスできます。
DDNSは、ホスト名が常に現在有効なIPアドレスを指すよう維持します。個人用途で利用したい場合は、ExpressVPNでのDDNS設定方法 をご確認ください。
DHCPによるDNS設定
前述のとおり、DHCPはクライアントにDNSリゾルバーの情報を提供できます。さらに、接続性に関わるさまざまなネットワーク設定も配布可能です。特に重要なのは以下の2点です:
- DNSサーバー: DHCPは1つ以上のDNSサーバー情報を配布し、クライアントが利用するリゾルバーを管理者が制御できるようにします。
- デフォルトゲートウェイ: DHCPは通常、ネットワークのデフォルトゲートウェイのIPアドレスを提供し、インターネットを含む外部ネットワークへの通信を可能にします。
これらの設定により、名前解決の統一が図られ、デバイスはローカルネットワーク外とも確実に通信できるようになります。また、設定ミスや未設定によるトラブルの防止にもつながります。
DHCPのデメリット
DHCPはネットワーク運用を大幅に簡素化しますが、その利便性にはいくつかの注意点も伴います。
単一障害点
DHCPサーバーが停止し、バックアップがない場合、クライアントは新たにIPアドレスを取得できません。既にリースを持つデバイスは期限切れまで動作しますが、その後は通信できなくなります。小規模オフィスであれば数人、大規模なキャンパスネットワークでは数百人に影響が及ぶ可能性があります。このリスクを防ぐには、障害時に別のサーバーが引き継げるよう冗長構成を導入することが重要です。
IPアドレスの変動
DHCPで割り当てられるIPアドレスは一時的なものです。リースが期限切れになると、新たな割り当てを受けるまでそのアドレスは使用できません。そのため、予約設定を行っていない場合、再接続時に異なるIPアドレスが割り当てられることがあります。
プリンターやサーバー、ファイアウォール設定が必要な機器など、固定のネットワーク識別が求められるデバイスでは、IPアドレスの変動が運用負荷の増加につながります。IP予約機能を利用すれば、Media Access Control(MAC)アドレスに基づいて常に同じIPアドレスを割り当てることが可能です。
スプーフィング(なりすまし)
DHCPには、接続先のサーバーが正当なものであるかを検証する仕組みがありません。そのため、攻撃者が偽のDHCPサーバーを設置し、不正なネットワーク設定(例:攻撃者の端末をデフォルトゲートウェイやDNSサーバーとして指定)を配布する可能性があります。これをクライアントが受け入れると、通信が攻撃者経由に誘導され、監視・改ざん・遮断といったリスクが発生します。
アドレス枯渇攻撃
DHCPサーバーは限られたIPアドレスプールを管理しています。攻撃者が大量の偽リクエストを送り続けることでアドレスを使い切らせ、正規ユーザーが接続できなくなる可能性があります。大学や企業などの大規模ネットワークでは、プールの再設定や拡張が行われるまで、多数の端末がオフライン状態に陥るリスクがあります。

DNSのセキュリティリスク
DNSはネットワークにおいて極めて重要な基盤であるため、攻撃対象としても狙われやすい存在です。ひとたび問題が発生すると、その影響は広範囲に及びます。
キャッシュポイズニング
この攻撃では、リゾルバーに偽のDNSレコードを登録させることで、不正な応答を返させます。一度仕込まれると、そのドメインへのアクセスはすべて偽の情報に誘導され、ユーザーは攻撃者が用意した偽サイトへ導かれる可能性があります。
ただし、このリスクは Transport Layer Security(TLS)/HTTPS によって大きく軽減されています。多くの銀行サイトやECサービスでは、アクセス時に証明書の検証が行われるため、偽サイトにアクセスした場合でもブラウザが警告を表示し、ログインや決済処理をブロックします。ただし、こうした警告を無視すると、フィッシングやトラッキング、マルウェア被害に遭う可能性は残ります。
DNSハイジャックとスプーフィング
攻撃はキャッシュだけを狙うとは限りません。DNSサーバーを侵害したり、正規のリゾルバーを装った偽サーバーを設置することで、不正な応答を直接返すことも可能です。この場合、ユーザーがドメインにアクセスすると、本来の接続先ではなく攻撃者が指定したアドレスへ誘導されます。DNS処理はバックグラウンドで自動的に行われるため、一般ユーザーが異常に気づくことはほとんどなく、検知にはセキュリティツールや証明書警告、ログ分析が必要になります。
詳しくは DNSハイジャック に関するガイドをご覧ください。
プライバシーの漏えいリスク
多くのネットワークでは、DNSクエリは暗号化されずに送信されます。そのため、ユーザーがサイトへアクセスするたびに、アクセス先のドメイン名が第三者に見える状態になります。ISPやパブリックDNS、ネットワーク監視者は、こうした情報を蓄積することが可能です。
DNS over HTTPS(DoH)やDNS over TLS(DoT)といった暗号化技術は、DNSクエリを第三者から保護するために設計されています。DoHは通常のHTTPS通信にクエリを含め、DoTはTLSによる安全な通信経路で送信します。これにより、ユーザーがアクセスしようとしているドメインを中間者が把握することを防ぎます。ただし、多くのネットワークやアプリではこれらが標準で有効化されておらず、依然として多くのDNS通信が暗号化されないまま送信されています。
サービス拒否(DoS攻撃)
DNSは重要なインフラであるため、攻撃者にとって格好の標的となります。主要なDNSプロバイダーに対する大規模な DDoS攻撃 が発生すると、それに依存するサービス全体が利用できなくなる可能性があります。実際に 2016年には、Dyn(多くの企業が利用するマネージドDNSサービス)が攻撃を受け、TwitterやNetflix、Redditなどが広範囲で利用停止に追い込まれました。
DNSとDHCPを統合するメリット
DHCPとDNSを連携させることで、ネットワークは拡張性・監査性・セキュリティの面で大きく向上します。主なメリットは以下の通りです:
- デバイス識別の一貫性: IPアドレスが変わっても、ホスト名でデバイスを識別できるようになります。この一貫性により、ファイアウォールルールの適用やポリシー管理、ログの関連付けが容易になります。
- トラブル対応の効率化: DNSとDHCPが連携することで、問題の特定が迅速になります。サービスにアクセスできない場合でも、どのIPアドレスがどの端末・ユーザーに紐づいているかをすぐに把握できます。
- 柔軟なポリシー管理: 統合により、デバイスごとにきめ細かな管理が可能になります。例えば、ゲスト端末には短期間のリースを適用して古い情報を自動削除し、重要なサーバーには固定的な設定を維持するといった運用が可能です。これにより、重要システムの安定性を保ちながら、情報の整合性も維持できます。
- 自動化への対応: 多くの企業向けツール(構成管理や監視システムなど)は、正確な名前解決を前提としています。DHCPとDNSを統合することで、IP割り当てと同時にDNS情報も更新され、こうしたツールがスムーズに機能します。
DHCPとDNSはどのような場面で併用されるのか
ほとんどのネットワークで両方のプロトコルが利用されていますが、代表的な利用例をいくつか紹介します。

企業ネットワーク
オフィスやキャンパス環境では、DHCPが接続先の変更に応じて常に適切なネットワーク設定を割り当てます。一方、DNSは社内サイトやファイルサーバーなどの共有リソースを名前で簡単に利用できるようにします。
クラウド環境・データセンター
クラウド環境では、仮想マシンやコンテナが短時間で生成・削除されます。DHCPが即座にIPアドレスを割り当て、さらにDNSが更新されることで、管理者やオーケストレーションツールは変動するIPではなく、名前でリソースを特定できます。
ISP(インターネットサービスプロバイダー)
家庭向けインターネットでは、パブリックIPアドレスが定期的に変わるのが一般的です。DHCPがこれを自動的に管理するため、ユーザーは設定を意識せずに接続を維持できます。さらにDNSやDDNSを組み合わせることで、ゲームや監視カメラ、小規模サイトなどでもホスト名を一定に保てます。DNSがなければ、変動するIPにより自宅サーバーへのアクセスはほぼ不可能になります。
家庭・IoT環境
プリンターやスマートTVを接続すると、DHCPが即座にIPアドレスを割り当てます。さらにDNSがそのアドレスを名前に紐づけることで、「OfficePrinter」のような名称で簡単に接続できます。この連携により、家庭内の機器同士が特別な設定なしで通信できるようになります。
FAQ:DHCPとDNSに関するよくある質問
どちらが先に使われるのか、DNSとDHCP?
Dynamic Host Configuration Protocol( DHCP) が先に動作します。デバイスはDomain Name System(DNS)に問い合わせを行う前に、IPアドレスなどのネットワーク設定を取得する必要があります。その後、DNSがホスト名をIPアドレスへ変換します。
DNSとDHCPの違いは?
Dynamic Host Configuration Protocol(DHCP)は、IPアドレスやゲートウェイ、Domain Name System(DNS)サーバーなどの設定を自動的に割り当て、デバイスをネットワークに接続させます。一方、DNS はexample.comのようなドメイン名を、通信に必要なIPアドレスへ変換します。
DHCPはDNSを提供するのか?
Dynamic Host Configuration Protocol(DHCP)はDomain Name System(DNS)そのものを提供するわけではありませんが、通常はクライアントにDNSサーバーの情報を配布します。IPアドレスを取得する際に、使用すべき DNS サーバー も同時に通知されるため、各端末で個別に設定する必要はありません。これらの情報はリースと一緒に提供されます。
DHCPのデメリットは?
主なデメリットは、障害点 が増えることです。サーバーが停止したり設定に不備があると、新しいデバイスはネットワークに接続できません。また、リースには期限があるため、同じ端末でもIPアドレスが変わる可能性があります。ノートPCでは問題になりにくい一方、固定IPを前提とするプリンターやサーバーでは運用上の課題となります。さらに、クライアントは接続先のDynamic Host Configuration Protocol(DHCP)サーバーを検証しないため、偽サーバーによる攻撃リスクも存在します。
DHCPの主な機能は?
Dynamic Host Configuration Protocol( DHCP)は、 IP アドレスをプールから割り当て、重複を防ぎつつ、サブネットマスクやゲートウェイ、Domain Name System(DNS)リゾルバーといった設定情報を提供します。また、タイムサーバーやブートサーバーの情報など、追加の設定も配布可能です。
DNSレコードの仕組みは?
Domain Name System(DNS)レコードは、ドメインを管理する 権威DNSサーバー に保存されています。どのIPアドレスに対応するか、どのサーバーがメールを処理するか、どこでサービスにアクセスできるかなど、ドメインの挙動を定義する重要な情報です。
DHCPリースとは?
Dynamic Host Configuration Protocol( DHCP)のリース とは、IPアドレスがデバイスに割り当てられる有効期間を指します。期限が切れると、デバイスはDHCPサーバーに対して更新を行う必要があります。更新されない場合、そのIPアドレスは回収され、他の端末へ再割り当てされます。
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